【一般酪農と田野畑の山地酪農との違い」
山地酪農の特徴には、農業の基本にあるべき、
「土から創造的に生産する牛乳と牛肉」と云う、
実に基本中の基本があります。
輸入穀物飼料や化学肥料、農薬(サプリメント含む)など
殆ど相手にしていません。
現行の畜産では輸入穀物や化学肥料・農薬が無くては、生産できない形です。
簡単に言って、原料輸入加工型畜産なのです。
山地酪農では面積と頭数を規定しています。
これは山を荒らさないで安定生産するための必須条件です。
山の力を育て、ここの自然をフル活用することで、
乳牛がいる限り永遠に続けられる基礎なのです。
また乳牛が自らの能力で判断して、日々の生活を営むことも、
普通の酪農の考え方とは全く違います。
更に牛乳の生産量を増やすことを考えない、
自然のままで良しとすることも、牛の健康長命を願うからです。
しかも今の段階では牛も草も土地も、
化学力に関係ない物を買うことはできません。
ですから全てを自力で調達する以外に、
本当に良い物を用意することはできないのです。
そこを妥協することなく、
徹底的に守っていることも、山地酪農の力です。
草食動物の乳牛は、群れで生活し、群れで自然な動物的営みを行います。
自然交配自然分娩もその為です。
牧山の草種が二ホンシバを中心に、
素晴らしく多いのも山地酪農ならではです。
四季の草は酪農先進国もうらやむほど沢山あります。
林の木々の葉など、自由に思うように活用でき、
本来の森林の動物として生き生きと生活を楽しんでいるのです。
理念としては、牛も草も土も、そしてそれの恩恵を受ける人間も、
どこにも何年やっても支障がないばかりではなく、
広大な山地酪農の牧山には、見る者触れるものに、
何とも言えない感動を与えてくれます。
精神衛生的にも人間に寄与してくれるのです。
吉塚 公雄