志ろがねより愛をこめて 2005年7月 

シバの放牧地 平成17年7月5日(火)

 前略、沿岸北部地方はここの所、ヤマセで毎日寒い日が続きますが、皆様お元気ですか?
 日々の変わらぬ健康を心より感謝する歳になって来ましたが、日々の元気が掛け替えの無い大切なことに思える今日この頃です。

 さて、お忙しい中、3日の盛岡地区交流会にご参加下さった皆様方、本当にありがとうございました。
 勉強会では生産者規定の一部を説明させて頂きましたが、ご熱心にお聞き下さり有難うございました。

 山地酪農牛乳についてお気付きの点やご質問など、いつでもお気軽にお問い合わせ下さい。
 お聞き戴く事で、お互いに1歩でも2歩でも近づける事を信じております。

 また、近くにお越しの機会があればご遠慮なくご一報下さい。
 喜んでご案内させて頂きます。
 現地には説明や解説を越えた説得力があります。
 「観て感じる」で、充分です。

 さて、今の時期はシバにとっては最高の繁茂期(本当は6月と8月の2回のピークがある)です。
 日本ではハッキリとした四季があり、春夏秋の植物相が草の場合では歴然と変化します。
 夏草のシバが活躍を始めるのは5月の末からで、実はソメイヨシノの開花の頃から青葉が出始めます。
 加速度が付き、日々の生産を支えるようになるのは6月に入ってからですが、牛が増えて食草量が増えても余り気にならないほど、シバの状態が良いのは頼もしい限りです。

 今では生えているシバから、生産しているシバになっており、牧山中に分厚い絨毯を敷きつめたようです。歩く長靴を通してシバの勢いを感じ喜んでいます。

 こうなれば例え1時間に100ml以上の豪雨が降っても、土が流される心配はありません。
 シバの力です。
 これは又、山が守られると言うことになります。
 山に放牧農業をする以上、特に日本では雨量が多く、大地の侵食が懸念される山地では、このシバの働きは重要です。

 地力を蓄積して逃がさなければ、絶対的に生産力が増進する筈です。
 何十年何百年と言う長い間に蓄積された地力は、やがて少々の温度や気候の変化に左右されない、安定生産を約束してくれるようになると期待しています。

 ここに大地に根ざす意味があるのです。
 外国の都合ではなく、世の中に少々の変化があっても、自分の山で相変わらずの生産をして世の中に牛乳を供給できる意味は、百姓として真の喜びを感じるところです。

 今、勢いの付いた元気なシバを、乳牛が自分の意思で毎日バリモリと美味しそうに食べています。
 牛乳の味からシバを感じて頂ければ幸いですが、そんな牛たちの姿を観て、本当に歓喜に打ち震える心境です。草々。




おぼたて 平成17年7月19日(火)

 前略、皆様お元気ですか?
 長い梅雨空にお天道様が本当に恋しくなりましたネ。
 やっと晴れればやっぱり夏、今度はガンガン照らされて暑いの何の!
 でもやっぱり夏はこうでなくちゃ。
 下手すると夏が無い夏になってしまいます。

 先日、小学5年生の雄志が、
 「プールに入りたいなー!」
 と暑い夏を恋しがっていました。

 酪農家としましては晴れてくれないと、草刈が出来ません。
 乾草が欲しい。
 何とか乾草を収穫しないと・・・・。

 さて、17日の大安の日に、田野畑村では恒例の「おぼたて」と言う行事をしました。
 村に住むお宅に赤ちゃんが生まれると、近隣の班の人たちがお祝いに行くのです。
 そして初めて人々にお披露目するのですが、孫の仁美も初お披露目したと言う訳です。

 彼女を見ていると本当に幸せだナーと思います。
 そして日本の平和と安全に感謝の念を覚えます。
 お腹に宿ったその時から、喜ばれて期待されて、エコーのビデオを見ては男か女かと話題に出ました。
 一人の命の誕生を喜ぶ家族と受け入れてくれる地域。
 何とこれ以上があるのでしょうか?

 人として理想的に生まれ出られることは、地球広しと言えども、人口を100人に例えたらきっと1〜2人しかいないのではないでしょうか。

 生まれつき改善の当てが無い、苦労の中に、喜ぶ余裕すら持てない国や民族だったり、民族紛争で殺しあう人々だったり、命の尊厳なんて何処にも存在しない国も沢山あります。

 その同じ時代にここではこんなに幸せがあるなんて・・・?
 ありがたいと本当に思います。

 彼女を取り巻く人たちが、静かにその事を教えて行かなければいけないと思いました。
 感謝を生むのと、そうでない人々への厚い思いを育てなければいけないと思いました。

 ご縁があって我が子や孫、そして地域の人や行き逢う人があり、そのご縁のすべてが自分にとっての成長材料でなければと思います。
 子・孫もそうであって欲しいと願います。

 広大な面積の牧山・放牧地を持っている山地酪農家は、それを通してきっと社会貢献できるものと信じて疑いません。
 ご縁に心から感謝し、今の幸せに感謝し、周りに敬意を払いつつ、お互いに成長したいものです。草々。




4才のおじさん 平成17年7月26日(火)

 前略、皆様お元気ですか?
 私たちは何とか悪天の合い間を縫って二番刈りを開始しました。
 天気が不安定なので沢山刈るわけには行きません。
 雨に当てれば気温と湿度が高いので、今の時期はたちまち腐ってしまいます。

 とは言っても、やはり雨に当てながらのサイロ詰めになりました。
 晴れているようでも午後になると急に雨が降ってくるのです。
 速い者は夏休みになり、遠慮なく戦力として使えるので有難い限りです。
 明日は盛岡の配達日なので余り重労働にしたくありませんでしたが、結果的には非常に重労働になりました。
 今は公太郎の頑張りに掛かっているし、明日が配達で不在になるので、増して頑張ってしまうのでしょう。
 無事を祈るばかりです。

 さて4才のおじさんの話です。
 都のお腹に赤ちゃんがいる時には、壮太も
  「赤ちゃんが生まれるのネー」
 等と言っていましたが、イザ実際に生まれると、今まで一番下で甘えていたのに、赤ちゃんを次々と抱いて「可愛いね」等と言う、その現実を受け入れたくないのでしょう。

 増してや母ちゃんが赤ちゃんを抱けば、精神不安定そのもので、母ちゃんの体を激しく揺さぶったり、押したりたたいたりけったり、と激しい抵抗を示します。
 小さい心では理解できないのでしょう。
 仕方が無いかな?

 それでいて
 「保育所に赤ちゃんを連れて行ってみんなに見せようよ。」
 と言ってねだる所を見れば、可愛いと思ってはいるんだなと思います。

 赤ちゃんが生まれた事で、周りのみんなが赤ちゃんに向ける目は、非常に優しいもの。
 自分に向けられる目は、ちょっと違うと思っているのかどうかは分かりませんが、赤ちゃんに母ちゃんを取られたくない一心なのでしょう。
 母親の存在はそう言うものなのだと思います。そりゃそうかもネ。

 兄や姉は沢山の兄弟の上にいて、甘えられる時間が少なかっただけ、何でも受け入れてくれて、笑顔で返してくれる、安心の境地が母なのでしょうネ。
 自分の本なのだから。
 自分にとって母はそうであった・・・かも知れません。

 政府広報に「抱き締めると言う会話」と言うのがありますが、子供も大人も大切だなーと思います。
 4才のおじさんになった壮太には、話して聞かせたり、話を聞いたり、抱き締めたり、を繰り返して教えなければと思います。
 本気で話せば、話は理解できなくても、本気で向っている事は通じるものですよネ。草々。