2.受精・出産・哺乳

@種付けは主に雄牛による自然交配であるが、人工授精でも可。産哺乳(受精卵移植やクローン、遺伝子操作などは絶対に不可。)

  種牛による自然交配を原則としても、近親交配を避ける為に2年に1度は導入せざるを得ない、種雄仔牛(後継牛)の入手の不手際や、育成失敗による空白期間をただ過ごすことはできません。最低限度として凍結精液による人工授精だけは認めざるを得ません。最近流行の受精卵移殖やクローン、遺伝子操作など科学的な不自然な手法は絶対にしない事を宣言しています。
 種雄牛は約2年間しか使えませんが、活躍2年目の種雄牛は「ハーレムの中心は自分で、この群を守っているのは俺だ!」とでも思っているかのような風格が出てきます。群の色々な行動にも表れてきます。



A発情異常等は自然回復を待ち、ホルモン等、薬品に頼らない。

  野草や牧草など草の食い込みによる、栄養的な自然回復を待ち、ホルモン剤による排卵の誘発や分娩の調整、薬品による発情の誘発などの不自然も行わない事を宣言しています。従って、他の家畜と比べて大食漢の乳牛に、充分に草を食べさせられる条件の整備は、山地酪農の最重要課題の一つです。 



B分娩は厳寒期以外は原則として、放牧地での自然分娩とするが、分娩房があれば室内でも可。

  牧山には出産適地が沢山あり、乳牛はその時の状況で場所を選び一人で出産するのが自然な分娩です。時には異常出産で「死」と直面することもありますが、普通は半野生状態で立派に出産し、赤ちゃん仔牛に乳を飲ませて面倒を見ます。生命誕生の喜びの瞬間でもあります。しかし、人でも野生でも子育ての上手下手はあるものです。下手な牛は何度出産しても、乳をやろうとしなかったり面倒を見ません。最低必要な事は、生かす為には必要なこともあるのです。そこは臨機応変でしょう。

C仔牛の哺乳は原則として全乳哺乳とする。自然哺乳ならベストである。(脱脂粉乳、人工乳、その他代替飼料等も不可。)

  仔牛の哺乳は出来るだけ自然哺乳がベストですが、中には子育てのヘタクソな牛もおり、その場合は母牛に変わって哺乳をせざるを得ません。また、自然哺乳(母牛と仔牛を一緒にして、自由に乳を飲めるようにしてあげる)で上手に飲ませられる母子でも、一週間か10日くらいで母子を離して育てなければなりません。それは、母牛と仔牛との親子関係を忘れて育ってもらわないと、やがて牧山に一緒に放牧した時に、しっかり覚えていて、デッカク育って完全に離乳したはずの我が子にオッパイを飲ませてしまう事もあるのです。自然順応型の山地酪農でも、特に乳牛の管理的には自然にするのもある程度にしておかないと家畜として使えなくなってしまう事もあるのです。こんな見極めもおもしろ味の一つだと思います。


D牛乳出荷は出産後10日以上経ったものでなければならない。

  出産後の牛乳出荷は(初乳期間の)最低5日間はダメと言う事になっていますが、10日間の自粛を行っています。これは味(独特の初乳味)に対する配慮で、安全や安心には一切問題はありません。