1.放牧地

@放牧地面積1f当たり、成牛換算2頭まで。
    (成牛1頭→育成牛1歳では4頭、2歳では2頭とする。)

  @は創造生産の基本です。大地に根ざすと言うからには、牧山の面積や採草地の面積の、裏付けがあるかないかが、キーポイントでしょう。そして放牧乳牛1頭に対して、どれぐらいの面積を与えるのがここの自然の条件にあっているのか、生態学的な見方を要求されるところです。


A牧区はできる限り区切らない。
    (1牧区を広くし、牛群の自由行動確保のため。)

 Aの意味は、群でのボス牛のリードによる自然行動の助長です。日本では皆無に等しい発想です。逆に一般的な牧区を人為的に区切るのは、効率的な草地利用の為で、これをすすめる方の判断には、ここの自然のままに、山々と空気と太陽と乳牛とのやりとりのリズムを信じて、人も牛も生活することを忘れてしまって、自分の都合による判断が多いように思います。


B化学肥料・薬品類(除草剤・殺虫剤等)は一切使用しない。

  B日本人はハエやカが出ると、殺虫剤で一網打尽にするくせがありますが、草地でも望まない草が増えると、やはりせんめつを望みます。それには除草剤が最適と言うことになるのです。穀作民族で田んぼに米を作れば、稲以外は雑草です。畑でウリやナスを取る時は、ウリやナス以外は雑草です。日本農業の歴史は雑草との戦いの歴史だったと言っても良いくらいです。米や畑作不可能な厳しい自然条件の所に、人が生きる為に草やコケを食べて生きてきた動物を、そのまま食う形から畜産になってきた先進国との歴史の違いを感じます。日本には家畜が活用できる草は沢山ありますが、雨量と四季に恵まれない畜産先進国とは比べ物になりません。(故に穀作農国)少々悪い草でも虫でも、千年家を目指す山地酪農家はそれも許容する心が欲しいです。

C酸性矯正の石灰投与(貝殻やくず石灰等)は積極的な使用をする。

  Cは健全農業の基本の問題です。そもそも日本の大地は、その恵まれた気象条件の1つ、雨量の多さが故のデメリットに、土壌の酸化があります。この酸性土壌の矯正は健全な作物を作るのに絶対的に必要な条件です。ただ、広大な牧山や採草地を相手に、一般的に使用されている炭カル(炭酸カルシウム)を使用することは、経済的にも労力的にも、効果が期待できません。畑作園芸では面積も狭く、即効性がなければダメですが、粉砕状のために効果が長続きしません、山地酪農の場合は、安価で効果が長期間続くものを考えたいものです。一度撒いたら20~30年以上効果が持続する、くず石灰や、安価な小粒原石か、浜で廃棄に困っている各種貝殻の投入などは、促進したい良い事です。


D草生はシバ主体草地がベストではあるが、要するに充分に草を食える環境整備をする。又、シバの混生を妨げてはならない。

  Dは放牧牛の糞尿と、畜産農家の糞尿の確実な効果があるので、あわてずに時を重ねる事です。牧山は肥えて来た所からだんだんに良い草になってきます。また徹底放牧をしていると自然にシバが出てきますが、一般的にはシバは敵視されており、お金をかけて排除しているのが現実です。混生や進入を妨げてはならないのです。


E原則として昼夜放牧、厳寒期のみ昼間放牧。
    (冬も昼夜放牧が最良)

  Eは私には当然のことです。大自然を相手にして恩恵だけを受けるのではありません。厳しさも牛たちは命がけで受けているのです。それを守り育てるのが我々牛飼いの役目です。(充分にやれないで、申し訳なさの連続ですが?)厳しさを共に乗越えてこそ、安泰のありがたさを心から享受できるのだと思っています。金力と機械力でひねりだした農産物ではなく、大自然からの恵みとして頂戴した牛乳の意味を、信念として後世に引き継ぎたいものです。