第125号・平成19年8月6日発行
発行者 : 田野畑・山地酪農牛乳
住所  : 岩手県下閉伊郡田野畑村蝦夷森161-3
編集・文責 : 吉塚公雄  
tel/fax  0194(34)2725
Eメール:  yoshizuka@yamachi.jp(吉塚農場)
       yamati@juno.ocn.ne.jp (熊谷農場)
  ホームページ http://yamachi.jp/


               
    第11回牧山交流会(くがねの牧)交流会のご案内
 第10回現地交流会トラクター  

◎ 日時:H19年9月1日(土)(毎年9月の第1土曜日)11:00〜
◎ 場所:くがねの牧(熊谷農場)
   〒028-8401岩手県下閉伊郡田野畑村長根57
   電話・FAX 0194‐34‐2725(吉塚まで)
   電話 0194‐34‐2266(熊谷まで) 
◎ 会費:大人1,000円 ・子ども500円
  (お申込は上記吉塚34・2725か、熊谷34・2266まで)    
(飛び入り参加も歓迎ですが、準備の都合もありますので、乞うご一報!)
  ご希望者数により、直通バスを別途料金で運行の予定です。
           (お一人様2,500円程度見込です。)

第10回現地交流会様子1

 お年寄りから子どもまで、飲んだり食べたり、スイカ割りや牧山散策など楽しく過しましたが、牛たちも様子を見に来ました。
美しい牧山に全国から沢山の方々がご参集下さいました。普段お飲みいただく田野畑山地酪農牛乳が、日々こういう牛の行動を通して生産されることや、シバを通して表土の力を感じ取って頂ければこの上なく幸せに存じます。
この牧山から新たな喜びが生まれているのも嬉しい限りです。
「山海の美味を沢山召しあがれ!」
(H16年9月2日の写真です。)
村内ご宿泊所のご案内
ホテル羅賀荘 0194‐33‐2611
中福旅館   0194‐33‐2010
本家旅館   0194‐33‐2411
ひらいが海荘    33‐2456
民宿 旭館     33‐2525
民宿 海のや    33‐2251他

 


      シリーズ55

      

 このシリーズは、私が学生時代にご指導頂いた故猶原恭爾(なおはらきょうじ)博士に、山地酪農家になる者はこれを読みなさいと報徳全書を示されました。私がサラリーマン家庭に育ったにも拘らず、実際の入植を決心させてくれたきっかけとなった本でした。生き方の問題をいろいろな例を出して考えさせられましたが、人間に生まれた以上、人として忘れてはならないものが沢山あったと思います。「まき」の紙面は限られており、どこまで求められるか分かりませんが、シリーズにして素晴らしい内容を少しずつ考えて行きたいと思います。どうぞよろしく。又、一層言葉を簡略にすることに努めます。  志ろがねの牧 吉塚 公雄

                                           
 報徳記 巻五  一、細川候の分度を定め本家家の道理を説く つづき3
 後年に至れば祖先の時代を顧みず、ついに疎遠となり、その本を思えば親子であり兄弟であり、実に骨肉同胞ではないか。広い天下に本家分家の縁より親しいものはない。これを顧みず、喜ぶべきを恨み、本家を疎遠にし、大恩を忘れて音信普通の憂いをきたしたとは、国の禍としてこれより大きいものがあろうか。これを改めずに、ただ国家を再興しようとしても、根本を忘れて枝葉を盛んにしようとするもので、何が成就できようか。親子兄弟は天然の親しみであって、人倫の大道もこれを第一としている。その人倫の道が立たないで、他の何を論ずることができよう。
  故に、すみやかに祖先の時の親子兄弟の親しみに立ち戻り、三(みつ)斎(なり)君(ぎみ)の大恩を顧みて二百年来の過ちを改め、姿勢を正して本家を重んじ、多年疎遠にしていた非礼をわびれば、そもそも八万両の助力をするほどの寛容の宗家であるから、ご当主の志を誉められ従来の疎意はたちまち氷解して、祖先が親子兄弟であった時そのままの親睦にいたること必定である。これこそ本家分家の大幸ではないか。もしもこの道理を具陳(ぐちん)(事細かに申し述べる事)して積年の過ちをわび、恩義に報いることができないなら、ただ毎月本家に行って目礼だけをするがよい。家老以下も打ち連れて行って目礼をするのだ。こうして心に前非を悔い尊敬の道を怠らないなら、たちまち親睦に至ることは疑いない。本来の親しみの道が立って、その上での仕法である。もしこの大義を無視してほかの道を行おうとするなら、それは私の知ったことではない。あなたは早速帰って、つぶさにこれを両君に言上し、大義をお開きなさい。」(このカッコは前回からのもの)
  玄順は愕然として先生の深遠な知慮に感銘し、言上を誓って江戸に帰り、先生が日夜の丹精によって国家再盛の基本を立て、「為政(いせい)鑑(かん)」という数巻の書類を両君に奉呈し、盛衰興廃の理がみなこの書に具備していることを、先生の教えの通りに説明した。両君はこれを熟覧して大いに喜ばれた。玄順は大義について先生の深慮から出た説を言上した。両君は先生の古今に貫徹した確言に感服し、祖先依頼二百余年の疑惑(ぎわく)怨恨(えんこん)が一夜の夢のように解消して、前非を改め、本家に対して旧恩の多大なことを感謝し、厚く信義を通そうと考えられた。そして玄順をねぎらい、日を選んで群臣を集めて申し渡された。「我らは不肖にして家政に適宜の処置を失い、年々艱難(かんなん)が増し、群臣は困窮し領民も飢渇(きかつ)を逃れがたい。これはみな我らの不徳のいたすところである。いま借財は十万両を越え、領内は年々荒廃してゆく。このまま行けば数年の内に亡国となるであろう。我らが案じて寝食をなしえぬゆえんである。故に改革して藩内一同に正当の扶助を得させ、領民を安堵させようと心を悩ませておったが、いかなる方法によれば望みが達せられるか知れなかった。 つづく





 〔当り前の生活が出来る有難さ?〕           H19年8月3日(金)
                                                        吉塚公太郎
  山地酪農牛乳を飲んで下さっている皆様、本当にいつもお世話様です。毎日、お腹一杯ご飯を頂ける事や、牧場の方でも、今までに無い牛達の順調な育ちを見て、家族皆で過去の牧場を振り返りながら感激しております。こんな生活が出来るのも、地元の人達の助けや牛乳を買って下さっているお客様のお蔭と、本当に感謝しています。これからは、僕の弟達も大人に近づいて来ているので、弟達がまだ生徒の内に第二牧場を軌道に乗せないといけないなあと思っています。候補地はあるのですが、親父も資金を借りようと色々尽くしたのですが、借金能力が無いと言う事で資金を借りられませんでした。こんどは、僕が新規就農者という形で借りられるように色々資料を集めています。今年から3年間(19年〜21年)の間に資金を借りられれば、無利息で貸して貰えるそうです。この3年間の間に何としてでも資金を借りたいです。たまに、親父と次男の恭次と僕でその件で話し合ったり、時には、焦りの気持ちが喧嘩のようになったりもします。
  でも、僕は夢を持てる事や、家族皆が笑顔で明るく過せる事、牛達が、順調に育ってくれる事、そして、毎日お腹一杯ご飯を頂ける事が、お金では買えない僕の宝物だと思っています。
 
“池間哲郎さんの本を読んで” 池間さんは、15年ほど前から、フィリピン・ベトナム・タイ・モンゴル・カンボジア・ミャンマーなどで、貧困地域を訪ねて沢山の子供達を支援する活動を続けている方です。これらの国では飢餓で飢えている人や、一日の一食を確保する為に10才以下の子供達が、都会から運ばれて来た大量のゴミの中にあるリサイクル出来る物(お金になる物)を一日かけて拾います。ほとんど、3日に一回食事が出来るか出来ないかだそうです。池間さんが、この子達から夢を聞きました。あなたの夢は何ですか?すると、「大人になるまで生きる事です。」や「一生に一度でいいから、お腹一杯ご飯を食べる事です。」と笑顔で答えたそうです。僕は日本人の生活を見て恥ずかしさを感じました。 


                 
  〔中標津(なかしべつ)での実習〕                H19年8月3日(金)
                                                        吉塚 恭次
 私の2年目の実習はといいますと、今度は北海道の道東にあります中標津「三友牧場」です。
勿論ここでも1年間お世話になりました。初めは、また独特な緊張感で一杯でした。そして、お目にかかり、私は明るく精一杯挨拶をしました。三友さんはとても温かく優しい笑顔で握手をしてくださいました。緊張感でカチカチだった私は、緊張感がほぐれ気持ちが楽になりました。1ヶ月位が経ち、芝生の石拾いを頼まれました。私は、「なんだ石拾いか・・・」みたいな感覚でしゃがみこみ、石を拾っていました。すると、なにやら後ろの方から三友さんが腰を曲げた状態で石を次々と拾っているではありませんか!その時私は、「こんな石拾い始めて見た!」と心の中で感心していると三友さんはこう言いました。「たかが石拾いだと思うな!石拾いにもベストな拾い方がある!」私は「ここの実習はまた何か違う!」と感じました。それから私は、何をやっても怒られていました。とにかく三友牧場での実習は、どんな事でもいつでも改善意識を持ち、昨日より今日、今日より明日、と言うように毎日考える事でした。
 私は、今まで何をやってもそこまで考えたことはありません。そして三友さんのいつでも改善意識を持って考え続けてやっている姿を見て尊敬しました。三友さんに怒られすぎた事で、三友さんと顔を合わせるのがいやになった事もありました。でもその三友さんの厳しさには、誠心誠意教えようとする気持ちや、愛情があり、実習の終りが近づくにつれ、不思議と怒られる事が有難く感じ、「もっと沢山の事を覚えたい、改善したい」と言う気持が、出て来るようになりました。私はこの実習で技術的には余り腕を上げる事は出来ませんでしたが、どんな時でも改善意識を持ってやっていく事の重要さを教えてもらうことが出来、そして今では実家の‘志ろがねの牧’でも、自分の普段の生活でも、人とのかかわりでも、全ての事に改善意識を持ち人の為、そして牧場のために精一杯やって行きたいと思っています。ここまで成長させてくださった三友さん、そしてまた心配を掛けながらも、2年間見守ってくれた家族に心から感謝しています。これで実習は終りになりますが、まだまだ分からない事は一杯あるし、これからも‘志ろがねの牧’で仕事をしながら、牛から、自然から、色々な人との関わりの中から、沢山の事を学んでいけると思います。そう考えますと、私の実習はまだまだこれからだと思います。     恭次拝 


〔5月25・26・27日ご来訪のMF(福井県)さん手記より〕

 ・・・略、偶然に、寝る前につけたテレビで拝見してから、ホームページを見つけて、ブログに書き込み、そして本当に現地に来てしまうなんて、自分でもビックリです。・・・・、このご縁に感謝します。
牛たちの様子は、実際に見てみて(と言っても全てを見たわけではないと思いますが)、本当に素晴しいと思いました。牛にも環境にも負担をかけることなく、完結できるのですね。なぜこれが主流になれないのか、と思ってしまいます。山地酪農は非常に効率的で合理的なやり方ではないかと感じます。
たった2泊3日では、全てを見ることはできないし、お手伝いも足手まといで、皆さんにはご迷惑をお掛けしたかも知れません。申し訳ありません。でも今回来させて頂いて、本当に良かったと思います。・・・・・・・・・・・・・中略、ありがとうございました。

〔三重県農業高校3年生KS君・手記より〕

 2日目、今日は刈払いをした。やはり刈払機は疲れる。またカキ殻は色々利用できると知った。

 3日目、今夜はおじさんに色々話しをしてもらった。あまりにも色々ありすぎてパッとは思い出せない。でも今の自分には何が足りていないのか、それが何なのか気付かされた気がした。
自分は何でも技術ばかり追い求めている。ここに来たのもそういった面がある。技術さえあれば何でもうまく行くし、幸せにもなれると、心のどこかで思っていたのだと気付いた。
・ ・・・・・・・中略
自分に足りないのは何を持って幸せとするか。
自分の考える幸せの目標を探す必要がある。
 その目標を見誤らない為に、自分は色々見て、学ぼうと思った。それは技術以上に大切だ。
 今は頭の中がクタクタだ!
 生きがいだ!! 志だ!(志ろがねの牧だけにナンチャッテ!!)

 4日目、山地酪農の牛はとにかく腹がでかい。
見ていてほれぼれしちゃう。・・・・略。

 6日目、今日は牛乳をダンボールの箱に入れる作業をさせてもらった。
その一つ一つの作業の丁寧さとときたら・・?
これがお客様にお金を払ってもらって、商品を届けると言うこと。責任を持つと言う意味だと感じた。
  僕はそんな責任を負ったことが無かったので、とにかく新鮮な感覚だった。

 7日目、今日は牛乳配達を手伝わせて頂いた。正直言って初対面の人と顔を会わせるのは緊張するし恥ずかしい。
 しかしお客さんにそんな態度を見せてはいけない。
恥ずかしかった。公太郎さんスゴイと思った。
すごく丁寧だ!

 8日目、最後の夕飯の時に、みんなから一言ずつ話してもらった。
  自分からも思っていることを話したのは、これが初めてかも知れない。それに気が付いた時は、少々後悔した。今までにもっと色々話せたナー、と言う感じ。・・・中略・・
  最後に本当にみなさんありがとうございました。感謝しています。ご飯、美味しかったです。