くがねの牧通信 2007年8月 

     発行者:田野畑山地酪農牛乳
     住 所:岩手県下閉伊郡田野畑村長根54
     編集・文責:熊谷 宗矩
     TEL:0194−34−2266
     Eメール:yamati@juno.ocn.ne.jp
     ホームページ:http://yamachi.jp/ 
   第3号・平成19号7月7日

 
   皆様、こんにちは! 始めは空梅雨だった天候も、例年通り、雨、濃霧(ヤマセ)の毎日となりました。暑さやアブの為、少々食欲が落ちていた牛達も、涼しくなったお陰で元気全快! すっかり緑のシバで覆われた放牧地で、雨にも負けず、食べては寝を繰り返しています。牛にとっては地獄の夏に向けて、しっかりと体力を蓄えているようです。
  さて、7月1日に行われた盛岡地区交流会には、多くの皆さんのご参加を頂きまして、本当に有難うございました。好天にも恵まれ、会場となった「ちいさな野菜畑」さんのご好意の下で、また皆さんと貴重なひと時を過ごせた事を、心より感謝いたします。今年の現地交流会は、9月1日土曜日、くがねの牧で開催予定です。こちらにも、お誘い合わせのうえ是非ご参加下さい。また、何かご希望やご要望がございましたら、遠慮なくご連絡頂ければと思います。現地交流会の詳細については又後日お知らせいたします。
 交流会』
                                                     熊谷宗矩
  7月1日。快晴の下、盛岡市三ツ割にある「ちいさな野菜畑」さんにて、盛岡地区交流会が行われた。会場のお洒落なウッドテラスは、今が見ごろの紫陽花をはじめ、色とりどりの花々に囲まれて、初夏の強い日差しに輝いていた。そんな最高のシチュエーションのなか、私はというと・・・。
  前日の草野球チームの飲み会で、恥ずかしいかな、かなりの二日酔いである。途中の早坂峠までは妻に運転してもらい、ひたすら体力の回復を図ったのだが、なかなか思い通りにはいかない。その早坂峠であるが、今年の秋にはトンネルが完成予定。今は残りの工事が急ピッチで進んでいる。この全長3qのトンネルが完成すれば、盛岡市内までの道のりが、夏場で10分以上、冬場では20分もの時間短縮となり、特に冬場はうねうねとした峠道を通らなくていいだけで、精神的にもかなり楽になる。牛乳配達で毎週この道を利用している我々にとっても、まさに待望のトンネルなのだ。
 
  さて、交流会はと言うと、山地酪農牛乳友の会の会長でもある、花田さんの本当に心温まる乾杯のスピーチでスタート! 素材にもこだわった美味しいお料理やお酒に囲まれ、皆さんとの会話も自然に弾み、いつの間にやら二日酔いも吹き飛んでしまった。所々に自己紹介やスピーチを織り交ぜながら、楽しいひと時はあっという間に過ぎていった。すっかりいい気分となった私は、いつもの様に頭の思考回路が麻痺し始めてきた。そんなときである。「では、最後に、宗君! 配達担当を代表して挨拶を。」と、思い掛けない吉塚代表からのスピーチの指名が。やばい・・。突然ということもあり、プレッシャーに弱いということもあり、言いたい事も上手くまとまらず、やはりボロボロの挨拶になってしまった。ただ、その短い時間に「何を皆さんに伝えよう。」と、酔いながらも必死に考えたのだが、この言葉しか結局私には思い浮かばなかったのだった。それは、「感謝。」
               
 私が就農し、牛乳配達のスタッフとして盛岡市内に通うようになって、もうすぐ10年。始めの頃の配達本数は200本前後、出発時間も朝の搾乳を終わらせてからの9時過ぎという、ちょっとのんびりしたものだった。しかし、それがいつの間にか300本、そして倍の400本と増え、あまり大きな声では言えないが、その配達時間は18時間を超えるようになったのだ。田野畑を早朝3時過ぎに出発し、お客さんと会話をする間も惜しんで配りまくり、家に帰るのが夜の9時、10時。 吉塚代表などは、歳のせいもあるのだろう、深夜12時近くになる事もあったと言う。その過酷な配達にもかかわらず、50を過ぎた体に鞭打ちながら、「有難い、有難い。」と、頭を下げている吉塚代表の姿を私は忘れる事はないだろう。そして、現在では、冷蔵車も2台に、配達員も公太郎、恭次と増え、盛岡配達本数500〜600本、岩泉田野畑120本(10年前の約6倍!)、木曜日には宮古方面にまで通えるほどになったのだ。商売を行う者として、恥ずかしい話かもしれないが、この成果に向けて原動力となったのは,自分達の営業力ではなく、お客さんの口コミや応援以外の何ものでもない。
    
 また、ひとつの所にじっとしていられない私にとって、配達と言って町に出るのは、最高の気分転換になるのだった。独身時代には、そのまま友達と飲みに出て、翌日に帰ってくる事もしばしばあった。これは余談だが、納品書のサインの欄に、「名前とそれと電話番号も!」と言って、女性を口説いたときもあった。(実はその方法で成功したのが現在の妻なのだが・・・。)すべてが酪農だけでは経験できない貴重なものだ。
 現在も肉体的には決して楽とは言えないが、配達から帰ったときの私の心は、いつも充電満タン状態。毎週変らず笑顔と励ましの言葉を掛けてくれる人。会えなくても置き手紙やノートに一言書いてくれている人、一服のお菓子やジュースをボックスに入れていてくれる人。自分の体が不自由にもかかわらず、車椅子で「頑張って、応援してるよ。」と、精一杯の握手をしてくれる人。この多くの皆様の支えがあって、今の私があるのだと、明日も頑張れるのだと、身に染みるこの頃である。


  交流会から1週間後、「ちいさな野菜畑」さんでいつもの様にコーヒーをご馳走になった。オーナーの小島さんと交流会の話題になったのだが、「女の子で花壇の花をポットに入れていた子がいただろう。帰るときに『お花有難う!』と言って帰ったんだけど、俺、あげた覚えがないんだけどなあ・・・。」と、小島さん。
  すると恭次君が「あー、あの花なら、熊谷さんが『おー、持ってけ持ってけ。』と、あげてましたよ。」どうやら酔っ払った親父が、お店の花を、しかもテーブルの上の鉢に植えられてあったものを、ご丁寧にポットに移植し、自分のものの様に女の子に振舞っていたらしい。さすがの小島さんもこれには苦笑いである。
 野菜畑様、親子揃って大変ご迷惑をお掛けしました。この場をお借りしてお詫び致します。
皆様、いつも本当にお世話様です。皆様の笑顔を思い出しながら、牛飼いができる事を大きな喜びとし、そして、感謝いたしております。