くがねの牧通信 2006年4月 

実習レポート

 皆様、こんにちは! 
 各地から桜の開花のニュースが聞こえるようになりました。
 いよいよ待ちに待った春ですね。
 今月の通信は、3月に約一ヶ月間、我が家で実習をした北川茜さんのレポートをご紹介したいと思います。
 北川さんは岐阜県出身の23歳です。
 一見、おとなしそうに見える彼女ですが、作業に入ると、人が変わったように、どんな事でも張り切ってこなしました。
 本当に良く頑張ってくれました。紙面の関係で所々省略いたしますが、どうかご容赦下さい。
 彼女の目を通して少しでも牧場の様子が伝わればと思います。

                   東京農業大学 畜産学科2年  北川 茜

 私は小さい頃から牛乳が大好きでした。
 最初に酪農に興味をもったのも
 「牧場へ行ったら好きなだけ牛乳が飲めるんじゃないか?」
 と考えたからです。
 そして、「牧場と言えば北海道だろう!」と思い、北海道の本別町というところで、11ヶ月間実習することにしました。
 北海道に行ったのは18才の時ですが、その頃の私は、自分が何をしたいのか分からず、大学へ行く気も全くない、勉強もしたくない、でも何もしない訳にはいかない、といった状態で、困り果てて北海道へ逃げた、という感じです。

 そんな動機で始まった実習ですから、最初の頃は「来るんじゃなかった。」と、毎日毎日考えていました。
 それでも牛は可愛いし、思ったとおり牛乳は飲み放題で、嫌いにはならず、自分で搾った牛乳はそれだけですごく美味しかったのです。
私 は、「嫌だとばかり思っていてもしょうがない、何の勉強にもならない、ここまで来た意味が無いじゃないか、頑張って働こう。」と思い直しました。
 それから仕事にも慣れてきて、仕事が楽しくなるにつれ、牛や酪農にすごく興味が湧いてきました。
 北海道で実習している間に
 「放牧で牛を飼っている所もあるんだよ。」
 と聞いてからは、放牧に対する憧れが強くなり、次は絶対にその牧場へ行こう!と思いました。

 大学入学後、熊谷さんの話を聞いたときは、私のあこがれている牧場だ!と思い、嬉しくて、「すぐにでも行ってみたい。」とお願いし、春休みの期間、実習させてもらうことにしました。
 ここでの実習は、北海道の時とは何もかも違いました。
 糞を落とすのも、牛にサイレージをあげるのも、すべて手作業で、最初の3日間くらいは筋肉痛で体中が痛かったです。
 サイレージをあげるのは一番大変で、いつも宗矩さんがやっているのを見ていると、「なんか簡単そうだ」なんて思っていましたが、自分でやってみると重くて取りづらく、地下にもぐっているから上にあげるのも大変。とても疲れました。
 人がやっているのを見ていると簡単そうでも、いざ自分でやろうとすると全然出来ないのは、それだけではなく、薪割りや除糞などすべての作業がそうでした。

 最初に放牧地へ行ったのは、すごく風が強い寒い日で、それでも牛たちは山へ登っており、大きいのも小さいのも一緒に風をよけて木の間で寝ていました。
 放牧地は本当に山で、遠くには海が見え、まだ雪もいっぱいあって、広くて、その中に牛がいて、もう本当に私は嬉しくて感動しました。これを見るためにここまで来たんだな!と思います。

 すごく思い出に残っているのが、美穂子さんと子供達と4人で、牛乳配達に行ったことです。
 みんなで「山地牛乳でーす。」と届けて行ったのがなぜだかすごく楽しく、私はこの牛乳を出してくれている牛達も、買って飲んでくれる人も知っているんだなぁと思うと嬉しくなりました。
 その牛乳は本当に本当に美味しく、沢山沢山飲みました。
 バルク(牛乳を冷やすタンク)ごと持って帰りたいくらいです。
 本当に。毎日寝る前に大好きな牛乳をたっぷり飲むと、なんて幸せなんだ…。と思っていました。

 私はここでの生活全部が初めてすることばかりで、とても楽しかったです。
 古い大きな家でおじいちゃんやおばあちゃんや和くんや宗ちゃんなどの小さい子供と一緒に暮らすのも初めてだったし、薪を割ったり、おまんじゅうを作ったり、大根を掘ったり、近所の人達とお酒を飲んだり、ワカサギを釣ったり。
 こういう事全部が実習で、一番勉強になったと思います。
 牛乳も牛も山も、たぶんずっと大好きだから、絶対にまたここに来ます。
 夏まで待てなくて今回来たけれど、今ここに来て本当に良かったです。