くがねの牧通信 2005年12月 

百姓、母校に帰る

 皆様こんにちは!
 いよいよ今年も残り僅かとなりました。
 毎年ながら本当に一年あっという間ですね。 歳も取るはずです(笑)。
 皆さんにとってはどんな一年だったでしょうか?
 くがねの牧の今年一年を振り返りますと、珍しく牛たちに大きな事故、病気もなく、牧草の収量もまずまずと順調だったように思います。私も就農7年目ですが、牛の管理や牧草地の管理など、少しずつではありますが、やっと手ごたえを感じるようになりました。来年は土の気持ち、草の気持ち、そして牛の気持ちがもっと理解できるようになりたいものです。いえ、それ以上に人の気持ちが分かるようになりたい・・・。これが素直なところでしょうか。

 話は変わりますが、先月の30日に神奈川県に出掛ける機会がありました。
 理由は母校「東京農業大学農学部」に講演会のパネラーの一人としてお呼ばれされたのです。
 そのテーマは「あなたも農業をやってみませんか」。
 私が話したらやりたいと思っている人もやりたくなくなるかもしれないなどとも思いましたが、当時所属していた研究室の先生から是非にと頼まれ、ついに断り切れませんでした。

 出発の日、盛岡の妻の実家に泊まっていた私は朝5時に起きたのですが、外を見てびっくり!
 辺りは一面の銀世界ではありませんか。
 渋滞に巻き込まれて新幹線に乗り遅れてはと、急いで出発です。
 しかし、北東北と関東はこうも気候が違うのでしょうか。
 東京駅に着いた私は道行く人がコートやジャンパーを着込んでいるのにもかかわらず、あまりの暖かさに身に着けていたマフラーやカーディガンを脱がずにはいられませんでした。


あまりの会場の暑さに上着を脱いで熱弁中の
  くがねの牧 宗矩くん!!

 さて、公演のほうは私を含めて3人が持ち時間30分でテーマに沿って話す予定となっていました。
 今年で5回目のこの会は、各地で就農している卒業生が自分の体験談をもとに、後輩たちに農業の魅力を熱く語るというものです。
 大学側とすれば卒業生の就農者数の割合が、全体の10%も満たない現状を、少しでも改善できればとの思いから始めたようで、過去には農家に嫁いだ女性の先輩もパネラーとして参加したそうです。

 私以外の今年の発表者は、まず群馬でサボテン栽培を手掛け、現在は「群仙園」園主である島田明彦さん。
 この島田さんはトゲがあっても抱きしめたいと言うほどのサボテン好きで、まさにゼロから経営をスタートされ、その経営が軌道にのるまではかなりの苦労をされたようです。
 その苦労を乗り越えた先輩の話と日焼けした充実感に満ち溢れた顔に、私は自分も発表者だと言うことも忘れ感動したのでした。

 そして、もう一人は東京都内で自家製野菜を庭先販売している中村利行さん。
 中村さんは都内にもかかわらず、いや、都心に近いからこそ農業も必要不可欠であり、自分の農地をこれからも守り続けたいとのことでした。
 自分で作ったものしか販売しない為、10数種類以上の野菜や果物を常に栽培し続ける努力には感服しました。

 さて、私の発表はと言うと、400人以上の学生を前に震えながらも、なんとかこなしたというものでした。
 タイトルは「今、農業が面白い!」
 山地酪農をやってみての体験談やこの牛乳を通しての皆さんとの様々なかかわりについて話したのですが、上手く思いを伝え切れなかったと言うのが本音です。
 ただ救いだったのが、帰ってからパソコンを開いてみると、数件のメールが。
 学生が感想を寄せてくれたのです。


真剣なまなざしの学生達!!
震えながら、なんとか終了。

 本当に嬉しかったです。
 発表の最後に学生たちに、皆さんもよくご存知なこの言葉を送りました。
 「段取り8分」。仕事の良し悪しはすべて段取りで決まるという意味です。
 私は自分自身に言い聞かせるようにこう言いました。
 「これを人生に置き換えると、学生時代というのは将来の夢や目標に向かってのまさに段取りの時期です。
 また、まだ自分が何をやりたいのか何に向いているのか決まっていない人は、早く見つけられるようにしっかり段取りましょう。
 たった一度の人生、少しでも有意義なものにする為に」と。

 本年も本当に有難うございました。感謝です。

 終わり